清水 | 文化財学科 | 文学部 | 徳島文理大学香川キャンパス

日本建築史

歴史・美術・民俗・社会などさまざまな側面から建築を通じて人々の営みを考えます。

教授清水真一

授業・研究について

■授業について
建築史とは、歴史、美術、民俗、技術、社会など様々な側面から建築を通じて人々の営みを知ろうとする学問です。現存する建築ばかりでなく、文字資料、絵画資料、発掘遺構など様々な資料を駆使します。日本建築史では古来からの伝統が根強い神社建築、大陸伝来後の変遷著しい寺院建築、貴族や武家などの住宅史、古代都城から近世城下町までの都市史などを学びます。古建築の特徴の捉え方や評価の視点などが身につきます。

2年生の文化財実習Ⅰでは民家、同Ⅱでは集落・町並みを対象として、調査方法を学び現地で実習します。
3年生の文化財演習Ⅰでは社寺建築の調査方法を身につけるに加えて、既往研究の講読などを通じて仏堂、本殿、門、城郭、御殿など類型別に詳しく学びます。
4年生の文化財演習Ⅱでは、各自の関心テーマに併せた課題について発表と質疑を繰り返しながら研究を深めていきます。

■研究について
研究室では各地の自治体や社寺など文化財所有者から、古建築調査、管理や修理、公開や活用など様々な相談が寄せられますので、文化財保護やまちづくりへの協力を通じて得た実践的経験を教育に還元し、建築史を通じて社会に貢献できる人材を育てます。

古建築に魅せられるのは、建てられた当時の社会、文化、芸術的感性、技術などが総合的に発揮されているからです。
また社寺、公家、武家から一般庶民まで多様な施主側の意図と、それに応えようとする技術者や職人達の創意工夫が融合しています。
個々の建築から多くを読み取る観察力・分析力を養うことと、時代性や地域性などを読み取る大局的視野を養うことを目指しています。

講師の紹介

教授清水真一

担当授業

日本建築史I・II: 建築遺産論
文化財学概論A: 歴史資産保護論A
建築文化概論

研究専門分野

日本建築史
研究室名

建築史研究室
最近の活動

・建造物・町並みの調査研究
正倉院聖護蔵（正倉院事務所）、国宝松江城天守（松江市）、犬伏家住宅（藍住町）、多度津の町並（多度津町）など・建造物修理事業への協力
重要文化財道後温泉本館（松山市）、重要文化財旧下木家住宅（四国村）、重要有形民俗文化財肥土山の舞台（土庄町）、重要有形民俗文化財中山の舞台（小豆島町）、香川県庁舎東館（香川県）、本山寺五重塔（本山寺）、特別名勝栗林公園旧日暮亭（公園管理事務所）など・保存活用計画策定への協力
重要文化財牛伏川本流水路（長野県）、重要文化財常願寺川砂防施設（国土交通省）、旧別子銅山山田社宅（新居浜市）など
最近の著作

「伝統建築工匠の技を伝える－伝統的修理技術継承の課題－」文化財建造物研究－保存と修理－Ｖol.７　文化財建造物保存修理研究会　2022.3 「善通寺五重塔と本山寺五重塔の歴史と意匠」『本山寺五重塔解体・保存修理報告書』本山寺　2021.11 「伝統建築工匠の技を伝える」月刊文化財693号　第一法規　2021.6 『多度津町多度津―伝統的建造物群保存対策調査報告書―』（共著）多度津町教育委員会　2020.3 『日本の建築文化事典』（分担執筆）丸善出版　2020.1(文化財) 「犬伏家住宅の屋敷構えと建築」『犬伏家住宅調査報告書』藍住町教育委員会　2020.1 「世界遺産平泉の保存管理に向けて―アジアの都市遺産・仏教遺跡の課題と取り組みから―」平泉文化研究年報19号　2019.3 『図説日本木造建築事典－構法の歴史－』（共編著）朝倉書店　2018.12 『島根県の近代和風建築－島根県近代和風建築総合調査報告書－』（分担執筆）島根県教育委員会　2018.3

中高生への
メッセージ

過去の人々の営みを知る手がかりとなり、歴史を正しく知るためには欠かせない様々な歴史資料・歴史資産、それが文化財、文化遺産と呼ばれているものです。
これらを残し未来に伝えることは現代の私たちの大切な使命です。わが国ほど古い木造建築が数多く伝来していることは世界の奇跡です。どのようにして伝えられてきたか、保存に尽力した人々がいたことも歴史として伝えていきたいものです。