

病態生理学講座

講座の紹介
教授 得丸博史
講師 定本久世
私たちは脳神経系の高次機能や病態の基となる神経メカニズムの解明を目指し、様々な動物種、手法を用いて実験を進めています。脳機能の基本となるメカニズムは、シナプス伝達効率の変化です。私たちは、シナプスにおいて伝達物質を放出する機構、特にCa2+が1ミリ秒以下という超短時間で引き起こすシナプス小胞と形質膜の融合機構の研究を進めています。
助教 小林卓
また、行動変容に関連する脳内遺伝子解析、神経ネットワーク機能の研究を行っています。このため、脳神経系が比較的単純で、扱いやすい実験動物として軟体動物チャコウラナメクジを用いています。学習・記憶など、行動変容に関連する遺伝子群の多くは、遺伝子研究が先行して進んでいたショウジョウバエで最初に見つかりました。近年遺伝子データの整備が急速に進んできた軟体動物種を用い、行動変容に関わる遺伝子探索、機能解析を行っています。また、薬理学的・電気生理学的解析手法をつかって脳波やニューロンの膜の興奮性、シナプス伝達の変化に関わる神経伝達物質および神経調節因子(GABAやアセチルコリン、神経ペプチドなど)の役割について調べています。

業績紹介
- 論文・出版
- 01.「研究者が教える動物実験」 全3巻 尾崎まみこ・村田芳博・藍 浩之・定本久世・吉村和也・神崎亮平・日本比較生理生化学会 編集 (共立出版)
- 02.Sadamoto H*, Takahashi H, Kobayashi S, Kondoh H, Tokumaru H (2021) Identification and classification of innexin gene transcripts in the central nervous system of the terrestrial slug Limax valentianus. Plos one 16, e0244902. https://journals.plos.org/plosone/article/metrics?id=10.1371/journal.pone.0244902#viewedHeader