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マリンサイエンスゾーン協定

サイエンスのチカラで地域を元気にしたい!
ヒトエグサ生活環に与える徳島県沿岸海水の影響と効果の解明

マリンサイエンスゾーン協定について

鳴門市や海部郡をマリンサイエンスゾーンと位置づけ、相互の連携・協力の下、水産業振興に向けた研究開発や人材育成を進め、新たなイノベーションを創出することによって、徳島県の水産業の成長産業化及びその関連産業の振興を図る。
本協定は平成31年3月19日に本学と徳島県及び徳島大学、阿南高等専門学校、四国大学との徳島県水産業の成長産業化及び関連産業の振興に関する協定(マリンサイエンスゾーン協定)です。

四者共同研究について

本共同研究は、マリンサイエンスゾーン協定に基づいた活動の一環です。

ⅰ 連携している地元産業界等の組織名称

徳島文理大学、徳島県、牟岐町、徳島大学

【実施場所】
徳島文理大学生薬研究所
徳島県立農林水産総合技術支援センター水産研究課
徳島県水産振興公害対策基金加島事業場
牟岐町水産資源栽培センター
徳島大学大学院社会産業理工学研究部生物資源産業学域

ⅱ 当該連携事業における地域の課題、その課題解決に向けて設定した目標

令和4年度

【地域の課題】
徳島県は太平洋、紀伊水道、播磨灘の異なった特徴をもつ3つの海に面し、一級河川の吉野川や那賀川、中河川の勝浦川や海部川などが数多く流れる水資源に恵まれた地域である。そのため、古くから四季折々の魚介類や海藻の採捕や養殖が盛んで、地域の基幹産業の一つとして水産業が営まれてきた。しかし、近年の温暖化に伴う海水温の上昇や水質変化がきっかけとなって、1980年代を境に、 水産関連事業や漁獲量の右肩下がりに歯止めが掛からない状況である。

【課題解決に向けて】
「徳島県の明るい未来の創生」に向けた計画的かつ包括的な取組みとして、徳島県沿岸海水の影響を調査し、現代の気候変動に対応した新たな水産養殖技術の開発に取組む。本学(徳島文理大学)においては、本学の独自技術によって培養したヒトエグサ種苗を環境の異なる徳島県各地の組み上げ海水を用いて養殖し、ヒトエグサ生活環に与える海水の影響を調査する。また、得られた知見を基に、地域で減少傾向にある食用海藻の生育と水質の因果関係を究明し、地域水産業に貢献する。また、各種食用海藻(主にヒトエグサと浅草ノリ)の陸上養殖への可能性を調査する。

ⅲ ⅱの課題の解決に向けて実施する取組みの内容

1) 牟岐町栽培センターの整備とアオサノリ(ヒトエグサ)実養殖試験

目標:アオサノリ生産量を年間1〜2t(乾燥)で陸上養殖できるように牟岐町栽培センター(旧:牟岐町アワビ種苗生産施設)を整備する。
実施計画: 昨年度(令和3年度)の研究成果として、古牟岐港周辺の海水は良質で重金属も少なく、アオサノリ養殖に適した海水(平均5倍/週の高い成長率)であることが確認できている。今年度は、養殖規模の拡充のため、センターに既に設置してあった経年劣化が激しいアワビ養殖用の順流水槽を撤去し、地盤整備を行ったうえで、アオサノリ養殖に適した簡易水槽を順次設置する。年内の設置完了を目指すと共に、海水の配水整備等が整った水槽から順次、効率生産(目標:まず1t乾燥)に向けた試験を開始する。

2) アサクサノリの成熟誘導物質の探索とその活性評価

目標:アサクサノリ成熟誘導物質の効果について再現性を確認する。
実施計画: 本学の化合物ライブラリーの中から、アサクサノリの単胞子(種)を作成するうえで重要な成熟プロセスを効果的に誘導する化学物質を特定した。今年度は、この化合物の効果について、再現性を含めて継続的に評価する。

3) 海藻養殖肥料の開発

目標:アサクサノリに適した徐放性肥剤の成分を特定する。
実施計画:アサクサノリは栄養要求性の高い紅藻であるため、養殖による「色落ち」が懸念される。そのため、アサクサノリ養殖用の徐放性肥剤を開発する。昨年(令和3年度)は、アオサノリの養殖槽に利用して、試作した徐放性肥剤を週1回の間隔で投入し、成長率を観察した。1か月後には肥剤なしと比較して約3倍の成長スピードを確認している。今年度は、この知見を踏まえて、アサクサノリに適した徐放性肥剤を試作し、養殖試験を実施する。