公開日 2026年07月07日
報道関係者各位
神経を持たない単細胞生物の行動を支える 「なめらかな電気信号」を数式で再現
徳島文理大学神経科学研究所の冨永貴志教授、冨永洋子研究員らの研究グループは、単細胞生物ゾウリムシの行動の基盤となる電気信号を、実験と数理モデルを組み合わせて定量的に再現しました。
私たち人間や動物では、行動を支える電気信号は神経細胞で生じます。そのしくみを数式で表す研究は、イカの神経活動の研究でノーベル賞につながった Hodgkin-Huxley 型の理論として知られています。一方、ゾウリムシのような単細胞生物は、進化的に大きく異なる道をたどり、神経系を持たないにもかかわらず、細胞膜の電位変化を使って繊毛の動きを変え、泳ぐ向きや動き方を調節しており、「泳ぐ神経細胞」とも呼ばれます。本研究は、こうした進化的に大きく異なる生物でも、行動を支える電気信号を定量的に記述できることを示しました。
本成果は国際的な生理学専門誌「Journal of General Physiology」に掲載(2026年7月7日)されました。
本研究のポイント
- 「泳ぐ神経細胞」の謎に迫る: ゾウリムシは脳や神経を持たないにもかかわらず、細胞膜の電気信号を巧みに操って泳ぐ向きや速度をコントロールしています。
- 「なめらかな変化」を数式化: 人間の神経のような「ONかOFFか」のスイッチとは異なり、刺激の強さに応じて電気信号が「なめらかに連続変化する」というゾウリムシ特有の複雑な仕組みを、4つの電流成分を統合することで世界で初めて定量的に再現しました。
- 未来のAIやロボットへの応用も: わずか1つの細胞で環境に合わせて賢く動くゾウリムシの仕組みは、従来のAI やマイクロロボットとは全く異なる、新しい情報処理装置の開発につながる可能性を秘めています。

研究の詳細は別紙をご参照ください。
【論文情報】
- 雑誌名:Journal of General Physiology
- 論文名:Kinetic reconstruction of graded membrane excitability in Paramecium
- 著者:Takashi Tominaga, Yoko Tominaga ・DOI:10.1085/jgp.202613977

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