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【世界初の発見】亜鉛分子が骨格筋の分化に関与

公開日 2024年04月04日

報道関係者各位

亜鉛の異常が引き起こす筋力が低下する病気の原因を解明-希少疾患のiPS細胞を世界で初めて開発-

本研究のポイント

  1. 亜鉛輸送分子ZIP13が骨格筋の分化に関与することを、世界で初めて発見しました。
  2. ZIP13が機能しない患者の細胞から、世界で初めてiPS細胞を樹立しました。
  3. 筋肉が衰える病気の解明と、その治療法の開発に貢献します。

 徳島文理大学の研究グループは、マウスの培養細胞およびヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた研究から、亜鉛輸送分子ZIP13[1]が骨格筋の分化に関与することを、世界で初めて明らかにしました。これは、庄司正樹(徳島文理大学薬学部 講師)、葛原隆(徳島文理大学薬学部 教授)、深田俊幸(徳島文理大学薬学部 教授)を中心とする共同研究グループ[2]による研究成果です。
 脊椎手掌異形成型エーラス・ダンロス症候群(EDSSPD3)[3]は、亜鉛輸送分子ZIP13の遺伝子変異による機能喪失が引き起こす病気であり、筋力の低下や、骨、歯、皮膚の異常を示します[4]。一方、亜鉛がどのように骨格筋の分化に関わるのかについては分かっておらず、この病気に対する治療方法も確立されていません。

 共同研究グループは、骨格筋におけるZIP13 の役割について、マウス筋芽細胞(C2C12 細胞)と独自に作製した患者由来のiPS 細胞[5]を用いた実験から解明に挑みました。その結果、C2C12細胞では筋分化に伴ってZip13遺伝子の発現が上昇し、Zip13遺伝子をノックダウンさせると、筋分化が抑制されました。さらに、患者由来のiPS細胞に骨格筋へ分化させる刺激を与えると、骨格筋分化に必要な筋分化制御因子[6]であるMyoDとMyogeninの発現が正常細胞に比べて顕著に低下していることが判明し、それらの発現低下はZIP13 の遺伝子変異を修復することで回復しました。
 これらの結果は、ZIP13 が輸送する亜鉛が骨格筋の分化に重要な役割を担っていることを示し、開発したiPS 細胞が脊椎手掌異形成型エーラス・ダンロス症候群の研究とフレイルやサルコペニア等の筋肉の病気の治療法開発に寄与すると考えています。
本研究の成果は、英国電子版科学誌Scientific Reports(サイエンティフィック・リポーツ)』に日本時間4 月12 日(金) 19:00 に掲載されます。

 

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お問い合わせ先

徳島文理大学
【報道担当者はこちら】
 入試広報部 広報企画監:戸川 友美(とがわ ゆみ)
TEL:088-602-8606

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