2017年2月9日(木) 平成28年度FD委員会[薬剤分野]を開催しました。

2017/02/16

FD委員会[薬剤分野]

平成29年2月9日(木) FD委員会[薬剤分野]を徳島大学薬学部にて開催しました。

◆日時:平成29年2月9日(木) 13:00~15:00
◆場所:徳島大学薬学部
◆出席者(敬称略):
[徳島文理大学薬学部]・・・・・櫻井栄一
[徳島文理大学香川薬学部]・・・加藤善久、徳村忠一
[徳島大学薬学部]・・・・・・・石田竜弘、奥平桂一郎、異島優
[松山大学薬学部]・・・・・・・水間俊

 

会議の要旨:
 第4回FD研修会では、以下の各項目につき討議を行った。

1)Problem based learningへの薬剤学領域の寄与について

 各校の参加者間で、薬剤学(薬物動態、製剤、物理化学など)領域は薬学部にしかない独自性の高い学問領域であり、薬剤師の強みとして他職種との差別化をはかる上での強みとなる事を確認した。薬剤学では薬物動態(pharmacokinetics)、薬物動態学的(代謝酵素、トランスポーター)な観点からの薬物相互作用、製剤特性を授業していることから、これらの知識は処方決定、投与計画、服薬指導、薬効発現の確認、副作用情報の収集などで強みとなるはずであり、かかりつけ薬剤師や病棟薬剤師のためのPBLのシナリオの中で薬剤学領域は大きなウエイトを占める事が確認された。一方で、臨床経験のない薬剤系の基礎教員がPBLのシナリオ作成に関与した場合、実際の臨床で生じうるシナリオを作成し難いとの懸念が示され、現状では極めて困難であることも確認された。質の高いシナリオの作成には、医師、看護師、実務家教員、あるいは現職の薬剤師の参画が必須であろう。

2)アクティブラーニングの導入状況について

1.徳島文理大学薬学部では、新カリキュラムの導入で、TBLを1年生から積極的に導入する計画であることが紹介された。現時点では1年生と5年生の成績不振者に対してTBL形式を取り入れたが、思うような成果が上がらなかったため、来年度3年後期の医薬品情報学演習で全学生を対象にPBLの実施を予定しているとのことである。二人のオーガナイザーがシナリオを作成し、チューターとして准教授、講師、助教12-13名の薬学部教員を動員するという大掛かりな実施計画が説明された。また、5年前期集中講義の実践的コミュニケーション学で、学生のコミュニケーションスタイルをCSI(Communication Style Inventory)により4つのタイプに分け、それぞれ違うタイプの学生同士の日常会話を授業中にロールプレイさせていることが紹介された。どこまでをアクティブラーニングと位置付けるかはわからないが、学生からは実務実習で患者さんとのコミュニケーションに役に立ったとのレポート報告を受けているようである。

2.徳島文理大学香川薬学部からは、実務実習指導薬剤師養成ワークショップでのタスクフォースの経験より、徳島大学でのアドバンスト症例解析演習のKJ法を用いたグループワークの共通点、香川薬学部の事前学習やチーム医療学で実施している多職種連携教育として本学保健福祉学部診療放射線学科および臨床工学科と少人数討論(SGD)、香川大学医学部医学科と症例検討会を連携して実施し教育力の向上を図っていることが紹介された。薬剤学、薬物動態学、製剤学では、授業評価アンケートにより、授業の質を高めようとしている点が紹介された。また、一部の科目、品質管理学、薬物治療学などで、アクティブラーニングの実施事例が紹介された。反転授業などでSGDを行い、参加型の学習によりコミュニケーション能力を養い、問題を解決する能力を醸成しようとする試みを行ったが、習熟しておくべき専門用語やその内容を理解しないまま、またそれらを調べる努力がなされない状態でのSGDは、プロダクトの質が悪く、討論内容の発展性に欠けた。まず、個々の学生が一定レベルの知識を修得させ、調査をする意欲を掻き立ててからSGDをすることや、異例とはなるがゴールとなるプロダクトを教員側で用意して、SGD後に修得すべきゴールを解説し、当該時間で獲得すべき到達内容を修得させるなどの工夫が必要であることが述べられた。

3.松山大学薬学部からは、現在各学年(年次)においてアクティブラーニングとして実施している科目とその内容の紹介が以下のようになされた。1年次前期には、薬学基礎実習Ⅰにおいて、ジグソー法を用いたPBL、1年次後期では、薬学基礎実習Ⅱにおいて、NSAIDSに関するTBL (クリッカーを使用したIRAT,GRAT)を、3年次では、機能形態学Ⅲにおいて3つのテーマでTBL を、そして4年次で、病院・薬局事前実習Ⅰにおいて、・気管支ぜん息患者の薬物治療前後のフィジカルアセスメント、・プレアボイド演習、・リスク症例演習、・症例から学ぶ患者への薬学的アプローチ (糖尿病患者に対する多面的アプローチを考える2日間のグループ学習)、また実践社会薬学において、CBL(Case Based Learning)を最終講義日にグループ討論。さらに、4年次後期に、病院・薬局事前実習Ⅱにおいて、3学科(愛媛大学医学部の医、看護を含めた)合同チーム医療学習。

4.徳島大学薬学部から、徳島大学が全学的に取り組んでいるSIH道場(徳島大学大学教育再生加速プログラム事業)について紹介された。本SIH道場は、「鉄は熱いうちに打て」(SIH: Strike while the Iron is Hot)の精神に則り、反転授業、グループワーク、学修ポートフォリオ、専門領域早期体験等によるリフレクションを基盤としたアクティブラーニングである。蔵本地区の医学・歯学・薬学部の1年生を対象(約400名)とし、医学部の医療教育開発センターが企画し、他職種協同の精神の下、課題解決型のアクティブラーニングを実施している。現状では、薬学部は参画しているに過ぎず、主体的に関わっている状況ではないことが述べられた。今後の課題であると考えられる。その一方で、6年生を対象としたアドバンスト症例解析演習にアクティブラーニングを取り入れている分野や個々の教員レベルで講義に対するリアクションペーパーを利用したアクティブラーニングを取り入れている試みもなされており、少しずつではあるが徳島大学薬学部も取り組み始めていることも紹介された。

 

薬剤2薬剤3

 

 

 

 

 

 

 

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