ご挨拶

徳島文理大学学長 桐野 豊

取組代表者
徳島文理大学学長 桐野 豊

この度、四国のすべての薬学部(徳島文理大学薬学部と香川薬学部、徳島大学薬学部、松山大学薬学部の3大学4薬学部)が合同で提案していた取組「四国の全薬学部の連携・共同による薬学教育改革」が、平成24年度文部科学省「大学間連携共同教育推進事業」に採択されました。本事業は、国公私立の設置形態を超え、地域や分野に応じて大学間で相互に連携し、社会の要請に応える共同の教育・質保証システムの構築を行う取組を支援するため、平成24年度より開始された新規事業です。

我が国の医療は社会構造の変化、医療技術の進歩、情報化の進展により大きく変化しつつあり、薬剤師の役割は質量ともに増大しています。しかしながら、現実には薬剤師は大変な供給不足のため、医療の改善が十分に進められない状況です。質の高い薬剤師を多数輩出してほしいという地域社会の要請に本連携取組は応えるものです。

3大学4薬学部が2012年に共同で実施した「日本の薬学、四国の薬学部」と題する啓蒙活動が基礎となって、それぞれの強みを活かした連携・共同教育に取り組むこととしました。具体的には、附属病院と高い研究実績を有する徳島大学、充実した文系学部の協力の得られる松山大学、他の医療系学部学科との連携により総合的な医療人養成が可能で、かつ、医療情報のIT化に取り組んでいる徳島文理大学の力を結集して、充実した薬学教育を展開します。

本取組「四国の全薬学部の連携・共同による薬学教育改革」の実施により、四国の4薬学部は地域の薬剤師会や病院薬剤師会、ならびに教育委員会などのステークホルダーと密接に連携して、課題発見能力と高度な問題解決能力を有する薬学系医療人・研究者の養成のために、学士課程と大学院課程の教育の質保証を確立し、また四国特有の地域課題を解決できる研究者や臨床薬剤師を養成していきます。薬剤師養成学士教育・大学院教育の体制整備ならびに研究を共同して推進し、各大学の特色を生かしつつ薬学分野の研究者や高度な専門知識を有する臨床薬剤師を養成することを目指します。遠隔授業システムの活用等により学士課程学生及び大学院学生が、多彩なカリキュラムを真の専門教員から学ぶことができるようになります。毎年、約3,300人の四国の薬学生がその恩恵を受けることとなります。

四国の住民に密接に関連する具体的な取組事項としては、例えば、近未来に予測される東南海地震・南海地震等の大規模災害時に救急救命チームの一員として活躍できる薬剤師の輩出、大学の附属薬局の開設などを通して高齢化が進む四国の住民の健康を守る優れた薬剤師の輩出、さらには高大連携などを通して、若い人たちに薬学の重要性と魅力を伝え、地域の活性化に資する活動など、地域に根ざした存在感のある薬学系医療人の養成に努めます。本取組により、学生は社会の要請・期待を強く意識するようになり、大学で学んだ知識を如何に地域に役立てることが出来るかを主体的に考え、行動できるようになるものと期待しています。

取組代表者 桐野 豊(徳島文理大学学長)