2017年2月10日(金) 平成28年度FD委員会[病態・薬物治療分野]を開催しました。

2017/02/17

FD委員会[病態・薬物治療分野]

平成29年2月10日(金) FD委員会[病態・薬物治療分野]を徳島文理大学薬学部にて開催しました。

◆日時:平成29年2月10日(金)13:30 ~15:00
◆場所:徳島文理大学薬学部 21号館1階会議室
◆出席者(敬称略):
[徳島文理大学薬学部]・・・・・市川勤
[徳島文理大学香川薬学部]・・・伊藤康一
[徳島大学薬学部]・・・・・・・滝口祥令
[松山大学薬学部]・・・・・・・酒井郁也

【議事内容】
連携4薬学部の担当者が、病態・薬物治療領域に相当するPBL(Project-Based Learning)の各大学の対応について、作成されたPBL資料(別添)を紹介し、実施状況や問題点について意見交換した。

 

1.各大学の対応状況

1. 徳島文理大学薬学部ではPBLを実施していない。今回のFDでは研究室セミナーの一環として4年生前期に実施した資料を用いて紹介した。学生が病態・薬物治療を履修し終えていない段階であったので、課外時間を利用して1週間、個人別に取り組んだ。単に教科書を読むより、課題を通して学ぶほうが積極的であり、理解を促すことができた。しかし、グループとしての取り組みでは課題を各個人が分担するために総体的な学びができないし、断片的になってしまう可能性がある。

2.  徳島文理大学香川薬学部では、講義とPBLをタイアップさせる意図で演習課題を作成した。てんかんという疾患設定に、高齢者、脳卒中という設定を加えて病態薬物治療を考える。また、相互作用を考えるために薬物代謝という基礎面にフィードバックして再確認するように構成されている。さらに画像を提示し、医療経済的な面にも発展できる要素を設定している。単位認定対象科目ではなく、現行の「治療薬学」の補講として希望者を募って実施している。なお、新コアカリキュラムでは「治療薬学演習」として症例検討など事前学習と連携して実施することを予定している。

3.  松山大学薬学部ではPBLは未実施であるが、実務実習事前学習の一つとして横断的な学習として行われている。今回提示したPBL課題は、慢性関節リウマチの症例で、病態生理学IIの講義資料(スライド)に基づいて、診断基準、検査項目の解説、治療ガイドライン、治療薬物の副作用、治療モニタリングなどが学習者主体の学びとして進められるように構成している。

4.  徳島大学薬学部では、PBLを総合薬学演習として6年前期に必修科目「症例解析総合演習」を実施している。実務実習の経験を経て、学生は薬物治療上の問題点の抽出や適切な資料選択などに長じているため、PBL演習を円滑に進めることができる。なお、課題から発展して医療経済的な内容に進む学生もあり、積極的に取り組む傾向にある。課題には糖尿病のように多岐にわたる病態を有する疾病が作成しやすい。今回のPBL資料では病態薬物治療分野を中心に、衛生薬学、薬剤学、薬理学などの他の分野も含めて総合的な思考の展開を図っている。

 

2.教育上の課題および問題点

1. PBL担当教員の負担の問題

 前回の第3回病態・薬物治療FD委員会において、「新コアカリキュラムにおける病態・薬物治療を担当する教員の負担は大きい。」との見解が示された。今回、PBLの実施においても同様の見解である。既に必修科目として実施している徳島大学ではグループワーク形式で1課題に4名の教員が配置される。松山大学および徳島文理大学の私立大学では徳島大学に比べて学生数が多く、指導および課題作成などの負担は過重になると思われる。

2. PBL導入時期と学習効果

「薬物治療学」学習を講義中心の履修に加えて、PBLを導入することによる学習効果の向上には期待できるが、実施時期を考慮すべきである。徳島文理大学香川薬学部では、3年次後期に科目の補講として希望者に実施し、3年次では病態・薬物治療の学習興味が不十分であったことが紹介された。徳島大学からは実務実習終了直後の実施で良好な結果が得られていることから、PBL実施時期としては実務実習終了直後が適していると考えられた。

3. 実務実習を考慮したPBLの取り組み

今回のFD研修において、病態・薬物治療が実務実習および実務実習事前学習との関連性が強く、6年生前期を実施時期としたPBLでの学習効果向上が期待される。同時期にはアドバンス科目や総合薬学研究(卒論研究)が行われるため、これらにPBLを組み込むことも方策の一つと考えられた。なお、実務実習の実施時期によっては5年生の後期後半から実施できる可能性もある。

以上病態・薬物治療