2017年1月17日(火) 平成28年度FD委員会[実務分野]を開催しました。

2017/01/23

FD委員会[実務分野]

平成29年1月17日(火) FD委員会[実務分野]を徳島大学薬学部にて開催しました。

◆日時:平成29年1月17日(火)14:00~16:00
◆場所:徳島大学薬学部 第一セミナー室
◆出席者(敬称略):
[徳島文理大学薬学部] ・・・・・京谷庄二郎
[徳島文理大学香川薬学部] ・・・二宮昌樹、池田博昭
[徳島大学薬学部] ・・・・・・・川添和義

 

議題:PBL症例・事例に実務分野がどのように寄与するか。

 PBLによる症例・事例のプログラムは、徳島大学では6年生でPBL症例・事例を行っており複数の症例が既に準備できている。一方、他の各大学ではまだ準備を進めている段階である。PBL症例資料を作成する際、大きな問題点として、症例・事例は何を参考にするのかが挙げられた。例えば、臨床の場での症例が、簡単に提供されるのか、既存の症例・事例を用いる場合、個人情報や著作権等が問題となる等が考えられる。また、PBLを行う教員の教育も必要でないか等の意見もあった。                                                   

 症例・事例については、どのような疾患を中心に行うべきかについて議論を行った。PBLを実施する学年によって変わってくるが、4年生では実務実習で学ぶ8疾患(がん、高血圧症、糖尿病、心疾患、脳血管障害、精神神経疾患、免疫・アレルギー疾患、感染症)を中心にPBLを行い、6年生ではこの8疾患を除いた疾患を行い、さらに癌の種類を増やすと実務実習では遭遇しにくい普遍的な疾患をすべて学べるので望ましく思われた。また、低学年では、倫理的社会的背景(例:経済的)を含んだnarrative-based medicine(物語と対話による医療)を行い、その後に実務実習を実施すると医療人としての倫理観を育めるので望ましい等の意見があった。                                 

 PBLを行う場合、複数の段階で行うのか、1段階で終了するのかについて協議を行った。その結果、複数の段階で行うのが効果的であるとの意見が大多数であった。例として、「糖尿病の治療」についてのPBLを行う場合、1段階では食事療法、2段階では薬物療法と複数の段階で行うことが望ましい。臨床の場では、すぐに薬物療法を行うのではなく第一に食事療法を行う、このことを学生に理解してもらうことが重要である。また、薬物治療学の講義が並行して進行するので、PBLで取り上げる疾患の配当時期にも工夫があればよいとの意見があった。1症例ごとPBLに取り組む時間(持ちコマ数)について検討し、チューターから問題点や課題を与えて学生が自主学習に取り組む時間が必要であるため、1回180分、3日間で1症例を完結する意見があった。                  

PBL学習の評価を行うにあたり、分野別(化学、衛生、薬剤、薬物治療等)にPBLを進行するも考えられるが、担当する分野の教員により評価が統一できない可能性があるので、シナリを作成する段階で、分野別教員間で協議を行い不変的な答えを出しておく必要がある。症例関係のPBLについて、学生が実務実習に行ってベットサイドで学んでから行うのは効果的であるとの意見もあった。評価基準として、学生の発言量、態度、ポートフォリオ等が挙げられた。                                 

 症例・事例については、臨床教員(実務家・医師)が協力して作成すべきであり、検査値の妥当性など医師の監修は重要である。また、既存の症例の利用については、個人情報や著作権等があるので慎重にすべきである。オープンになっているものは利用可能であり、日本医薬品医療機器総合機構のHP上にある安全性速報(ブルーレター)等を用いるのも一つの手段と考えられる。著作権に触れず、不変的な経過が出されており、PBLに相応しいが出典元は対象学生には伏せておいたほうが良い。

 その他の議題として、改定コアカリに準拠した実務実習の準備状況について話し合った。文部科学省から「実務実習実施計画書」の記載事項が例示された(薬学実務実習に関する連絡会議、平成28年11月30日付)が、各大学ともまだ様式ができていないので、今後意見交換を行いながらWeb版ポートフォリオに「実務実習実施計画書」を組み込み利便性が良いシステムを検討することになった。 

以上実務