2014年11月27日(木) 講演会「薬学倫理教育のめざすもの ~創薬研究から在宅医療まで~」を開催しました。

2014/12/04

徳島大学薬学部 徳島文理大学薬学部 徳島文理大学香川薬学部 松山大学薬学部

 

松山大学薬学部特別講演会

「薬学倫理教育のめざすもの ~創薬研究から在宅医療まで~」

 

◆日 時:平成26年11月27日(木)
◆会 場:松山大学薬学部 920教室
     遠隔授業システムを用いて
     徳島文理大学(薬学部・香川薬学部)、徳島大学薬学部にも同時配信
◆講 演:薬学倫理教育のめざすもの ~創薬研究から在宅医療まで~
◆講 師:松田 純 先生
     静岡大学大学院人文社会科学研究科
     臨床人間科学専攻 教授

 

 2014年11月27日(木)午後5時から、松山大学薬学部920教室において、静岡大学大学院人文社会科学研究科教授の松田純先生をお招きした特別講演会「薬学倫理教育のめざすもの ~創薬研究から在宅医療まで~」が、文部科学省大学間連携共同教育推進事業「四国の全薬学部の連携・共同による薬学教育改革」との共催として開催された。 松田純先生は、我が国における実践倫理学の第1人者であり、研究倫理から、生命倫理、医療倫理、薬剤師倫理や、さらに動物倫理まで倫理学の諸問題を幅広くかつ実践的に扱っておられる。特に薬学教育の分野では、『薬剤師のモラル・ジレンマ』(南山堂,2010)、『薬学生のための医療倫理』(丸善出版,2010)などの教科書を著され、好評を得ておられる。

 2006年より日本の薬学教育・薬剤師教育は、「ものから人へ」の理念のもとに6年制学部教育に移行した。さらに2015年度からは、改訂版モデル・コアカリキュラムに基づいた教育が始まることが予定されている。そこでは、「医療の担い手」としての薬剤師に必要な10の資質が定義され、その第1として「人の命と健康な生活を守る使命感・責任感及び倫理観を有する」ことが求められている。このように、薬学部における初年次教育から卒後の生涯研修を通じて、現代のチーム医療の現場において使命を果たすための正しい倫理観の養成が求められるようになってきた。一方、薬学教育者の間からは、倫理教育といっても、何をどう教えてよいかわからないという声がよく聞かれる。

 松田先生は、漢字・漢語に由来する日本語の「倫理、道徳」が、西欧の概念として発達した「ethics、moral」の訳語となったことから説き起こし、創薬研究や臨床研究の中で求められる研究倫理や患者に対して服薬指導を行う薬剤師が身につけるべき倫理と、実際に現場で遭遇する問題点に焦点を置いて話された。特に医療倫理の考え方として定着している、「善行」、「自律尊重」、「無危害」、「正義」の4原則が、複雑化した現代社会の医療現場で患者と相対する時に、互いに矛盾(モラル・ジレンマ)を生むことを話された。そして、モラル・ジレンマに医療人として立ち向かって解決し、良い結果を生むためには、マニュアルに頼らず、患者、家族、同僚、関連専門職などと対話を重ねて、考え抜くことが重要であることを強調された。

 今回の講演会は、遠隔授業システムを用いて徳島文理大学(薬学部・香川薬学部)、徳島大学薬学部に同時配信されて、講演後の質疑応答でも各会場より熱心な質問や討論が行われ、参加者の関心も極めて高いことが見て取れた。このような今回の特別講演会の成果は、四国の全薬学部において、それぞれの薬学教育に活かされていくことが期待されている。

20141127-松田純先生講演会_01