2015年3月4日(水) 講演会「残留性有機汚染物質(POPs)による地球環境汚染と生態影響:POPs 問題の過去・現在・未来」を開催しました。

2015/03/05

徳島大学薬学部 徳島文理大学薬学部 徳島文理大学香川薬学部 松山大学薬学部

 

「残留性有機汚染物質(POPs)による
地球環境汚染と生態影響:POPs問題の過去・現在・未来」を開催

 

◆日 時:平成27年3月4日(水)
◆会 場:松山大学薬学部 920教室
     遠隔授業システムを用いて
     徳島文理大学(薬学部・香川薬学部)、徳島大学薬学部にも同時配信
◆講 演:残留性有機汚染物質(POPs)による
     地球環境汚染と生態影響:POPs問題の過去・現在・未来
◆講 師:高橋 真 先生
     愛媛大学農学部 環境計測学研究室 准教授

 

 2015年3月4日(水曜日)午後4時から、920教室において、愛媛大学農学部の高橋 真准教授をお招きした大学院医療薬学研究科講演会「残留性有機汚染物質(POPs)による地球環境汚染と生態影響:POPs問題の過去・現在・未来」が開催された。この講演会は、文部科学省大学間連携共同教育推進事業「四国の全薬学部の連携・共同による薬学教育改革」との共催による。

 高橋 真先生は、環境化学・環境分析化学・生態毒性学がご専門で、ポリ塩化ビフェニル(PCBs)やダイオキシン類などの残留性有機汚染物質(POPs)、有機スズ化合物などの内分泌かく乱物質、水銀・鉛などの毒性微量元素を対象に、海洋および陸域の生態系における汚染実態や動態、野生動物・ヒトへの蓄積と影響を地域的・地球的視点で解析することを目的とした研究、また、アジアの途上地域を対象に廃棄物処理・資源リサイクル活動に伴う有害物質の発生や環境負荷を調査し、ヒトや生態系への有害物質曝露・影響評価に関する研究も行っている。

 講演は、残留性有機汚染物質(POPs)による地球環境汚染の実態や生態系への影響について概説するとともに、愛媛大学の研究グループが取り組んできたPOPsに関する調査・研究の成果やPOPs条約の発効後も残る課題などについて紹介した内容であった。

 ポリ塩化ビフェニル(PCBs)やダイオキシン類などの「残留性有機汚染物質(POPs)」は、環境中で分解されにくく、生物蓄積性があり、その地球規模での汚染拡大や野生生物への影響等が社会的・学術的に注目されている。また、2004年5月には「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」が発効し、POPsによる汚染の拡大防止について国際的な取組が進められているところであり、先生の様々な研究成果を交えてのご講演は、多方面からの質問があり、熱心な討論が行われ充実した講演会となった。

 また、医薬品となる化学物質を扱う薬学においても、薬は飲んだ患者さんの体内からそのままの構造または代謝されて水溶性の構造に変化して排泄されるので、生態系への影響など考えされられるテーマであった。講演中に何度も触れられていた、「Silent Spring( 沈黙の春)」を書いたレイチェル カールソン(Rachel Carson)の「この時代に生きる私たちは、自然に向き合う必要がある」という言葉の重さを改めて考える機会となり、今後の薬学教育に生かされていくことが期待される。

 

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