1. ホーム
  2. TOPICS
  3. 令和元年度文化功労者

大学院文学研究科および文学部日本文学科元教授の小林芳規先生が令和元年度文化功労者に選ばれました

 小林芳規先生は、平成4年(1992年)~平成19年(2007年)までの15年間、大学院文学研究科および文学部日本文学科で教育・研究において長きにわたり大変ご活躍いただきました。 角筆の発見は、今世紀の東洋文学文化における四大発見の一つともいわれ、その研究は、文化史や日本語の歴史に新しい光を投げかけているとし、国内外から脚光を浴びています。


幻の筆記具「角筆」とは?(徳島文理大学平成10年度大学案内より)

 私たちは今、多種多様な筆記具を持っている。しかしそれは明治以降のことで、それまでは毛筆が唯一の筆記具であった・・・と誰もが頭から信じていた。
 ところが、毛筆と並んで、それを補うもう一つの筆記具が使われていたことがわかった。「角筆」である。
 毛もなく、墨や硯も必要としない。木や竹でできており、その尖らせた先端で和紙の面を押し凹ませて痕をつけ、文字や絵を書く。この方法は、いにしえの奈良の時代から長い間使われ続けてきたにも拘わらず、通常の角度からでは見えなかったために発見されずにいた。書物を目の高さに持って、平行な目線で見ると、見えてくる。常識的な見方では見えなかったものが、常識の枷をはずすと見えてくるわけである。毛筆が正式文書なら、角筆は私的文書である。役人が書類に上司の指示を書き込んだもの。書物の行間に親に内緒の恋文。写真の文は、教師が講義を裸で聴く生徒の非礼をなじったものであるが、角筆スコープによってはっきりと映し出されている。
 角筆はどうやら鉛筆のような役割をしていたと思われる。明治以降、鉛筆の出現によって消えて行き、わずか100年たらずの間にその存在すら忘れられてしまったのである。
 角筆の存在は日本語の歴史を研究する中で発見された。毛筆と角筆は文字におけるハレとケである。角筆の文献を研究することは、歴史の隙間をかいま見るようでおもしろい。そこにはその時代その場所の生の人間の声が息づいている。本学では日本中でたった一つの講義「角筆による方言の歴史」が聴ける。(小林 芳規 教授 談)

●角筆で書かれた文字(右上部)