平成29年度 文部科学省私立大学研究ブランディング事業選定

藻類成長因子を用いた海藻栽培技術イノベーション

実施体制

学内の実施体制

本事業計画は大学が実施する重要事業の一つとして、法人理事会で実施が決定され、学長のリーダーシップのもとで、次頁の図に示したような全学的な実施体制が整備されている。
本事業の学部横断的な研究を遂行するための組織は「創薬天然物ライブラリー研究機構」(以下、研究機構)である。機構長は学長であり、薬学部・香川薬学部・生薬研究所・理工学部が「革新的藻類栽培技術の開発・応用」を担当し、人間生活学部・総合政策学部が「栽培藻類の付加価値増大・ブランド化」を担当する。

研究機構の担当者、研究内容及び業績リストはこちらをクリック(PDF:304KB)

研究機構による研究遂行を円滑に推進し、学内外との連絡調整のため、学長直属の「事業実施委員会」(委員長は学長)が設置されている。事業実施委員会は、関連学部の学部長と学長の指定する教員から構成される。さらに創薬研究・知財管理・産学連携に精通している人材1名をURAとして外部機関から採用する。URAは、事業実施委員会の事務局長としてこの事業を支援する。事務的なサポートは、教務部の教育・研究支援グループが行う。

学内自己点検・評価体制

 大学全体の自己点検・評価は、教育・研究支援グループが事務局を務めている「自己点検・評価委員会」が毎年継続的に実施している。この全学的な「自己点検・評価委員会」の下に、本事業に特化した「研究ブランディング事業自己点検・評価実施委員会」(平成28年7月施行)が設置されている。研究機構の研究実施計画、現状と成果、次年度の計画等は随時「事業実施委員会」を介してこの「自己点検・評価実施委員会」に報告され、研究成果のみならず、ブランディング事業としての意義という観点から評価を受ける。その評価結果に基づいて、研究機構の次年度の事業を修正・改善していく。

外部評価の体制

 外部評価委員会要項に基づいて、外部評価委員会は2種類設置する。「評価委員会A」は、本事業の内容(研究分野、地方創生への貢献)に詳しい有識者から構成され、「評価委員会B」は、本事業の成果に深く関連するステークホルダーから構成される。評価委員会Aの委員は、徳島県、香川県、さぬき市、徳島大学薬学部、香川大学医学部、徳島県保健環境センターの有識者、評価委員会Bの委員は、徳島県農林水産総合技術支援センター、徳島大学生物資源産業学部、美波の海の恵み研究会、香川大学瀬戸内圏研究センター、香川県水産試験場、徳島県薬草組合、高知県立牧野植物園、高知大学医学部、香川大学医学部、大塚製薬、河野メリクロンの方に就任していただいている。
 評価委員会Aは、年に1回開催され、事業の進捗状況と成果、今後の活動計画などについて評価を受ける。評価委員会Bも同様に年1回の会議を開催するが、評価委員会Bの委員は、県や地元の水産関係者などのステークホルダーでもあるため、事業の進行状況に応じて頻繁に面談する機会があり、評価委員からの意見を速やかに事業に反映して改善できる体制となっている。

学外との連携

 本学は、これまでも地域に根ざした大学として、本キャンパスのある徳島市やさぬき市を中心に、鳴門市、海部郡(美波町、海陽町)、高松市などの行政機関や学校、地域と協力して様々な活動を行ってきた。今回の事業においても、本事業で陸上養殖を実施(年次計画の研究1)する鳴門市の水圏教育研究センター徳島県立農林水産技術支援センター美波庁所と共同研究協定(平成28年度)、美波町と包括的連携協定 (平成28年)を締結している。さらに、美波地域の漁協組合から構成される海の恵み研究会、海部郡海陽町の栽培漁業センターともアオサノリの陸上栽培の可能性について共同研究を進めている。
 網養殖への応用を計画(年次計画の研究2)している志度湾においても、平成25年度からさぬき市と徳島文理大学との連携協定書を締結している。すでに地域の漁業組合、下水処理場と本学との共同研究により、窒素濃度を高めに設定した下水処理水を志度湾に放出すると、海藻や植物プランクトンの生長を促進させる効果があることを明らかにしている。本事業での藻類栽培技術を網養殖に応用する研究事業についても、十分に実施可能な地元の協力体制ができている。

学外への情報発信とフィードバック

 本事業により得られた成果について、様々な形で情報発信し、反応を収集・解析することで、次の事業展開の修正、さらなる拡大化をめざす。情報発信の手段として、1.研究機構が実施する研究事業の成果そのもの(藻類栽培の技術革新による地域養殖産業の活性化)により、本学の科学力が地域貢献につながることをアピールする。2.研究事業の成果を学会等で公表し、地域メディアに発信することにより広く地域住民に情報発信していく。3.地域連携センター入試広報部が連携しながら受験生・卒業生を含む地域住民に向けて情報公開・発信を行う。入試広報部は、通常の学生募集活動の中で本事業に関する情報発信を受験生、卒業生に対して行い、それに対する評価、反応を事業実施委員会を介して研究機構に伝え、コンテンツの充実化、情報発信方法の改善を行う。
 また、これまで徳島県の自治体と共同で地域活性化事業を行ってきた総合政策学部、および、地域の様々な伝統行事や活動を動画としてまとめ、情報発信してきた人間生活学部メディアデザイン学科にもこのブランディング事業に参加してもらうことで、研究事業の内容についてのコンテンツ制作、情報発信手段の拡大をめざしている。

学内と学外におけるPDCAサイクル

 前頁の図に示したように、研究事業に関しては、学内で「研究ブランディング事業自己点検・評価実施委員会」から、学外で評価委員会A、評価委員会B、および、ステークホルダーとなる徳島県、香川県の行政機関、水産関係者から意見、評価、要望を受け取り、研究事業の計画修正、拡大を行う。
 ブランディング戦略については、学内では、受験生、地域からの評価を日々受け取る立場にある入試広報部、地域連携センターからのフィードバックを受け、学外においては、学会や地域メディアに積極的に事業内容を報告して事業の認知、評価を高めるとともに、本学への期待、要望を受け取る。これらに基づいて、ブランディング事業の内容をよりわかりやすく伝えるコンテンツ制作、情報発信方法の修正・改善を行う。
 上記のすべての活動を事業実施委員会が統括し、事業全体として、本学の科学力の養殖産業への還元→地域の活性化→地域住民への本学の科学力のアピール→地域住民・受験生からの期待・評価・要望→本学のブランド力の上昇へとつなげていく。